ZABADAKカバー大会の思い出#2

ZABADAKカバー大会の思い出、後半の感想です。

 

9.bywyd -ビウィッド-(Vo+Gt,Vo,Vo)「樹海-umi-」「旅の途中」

 カバー大会にはいろんな方がさまざまな思いを抱いて参加されたと思うのですが、その中でも一番切迫したものを感じたユニット。それもそのはずで「樹海-umi-」のメインボーカル甘えびさんは吉良さんを思うあまり、楽屋で泣かれていたらしく……(話は楽屋スタッフから聞いていたのですが、客席担当だったのでどなたかは知らなかったのです) そのお気持ちと歌い上げる7拍子が実にハマりました。

 「旅の途中」では、もう1人の女性ボーカル藤本萌々子 さんが空気を洗うように場を一転。上手く次につながる雰囲気に変わりました。あとボーカルのお二人が使ってた鈴が欲しいです。

 

10.南りこ×ヒースと月夜の音楽隊(Vo,Gt,Acc)「ガラスの森」「Tin Waltz」

 MCの流れで「ガラスの森」は風部も急遽参加。私も最後尾でアンデス吹いてました! アコーディオンの方は右手主体、左手の位置が小峰さんと同じで、そんなところにもZABADAKっぽさを感じたり。ZABADAKの持つ側面のひとつ、トラッドらしさを感じる正統派ユニットでした。

 

11.Aquarism(Vo,Gt)「遠い音楽」「Psi-trailing」

 アカペラグループなどで活動されているボーカルのAYUさん。実力に裏打ちされたその歌声は実にオリジナル。ご自身の解釈とZABADAKへの寄り添いの合わさった2曲でした。

 ちなみに、ビウィッドの甘えびさんと萌々子さん、南りこさん、AYUさんと、歌っている最中の手の表情が豊かなユニットが続いたのも強く印象に残っています。しぐさや所作もまた歌なんですね。

 

12.color of the day(Vo,Vo,Gt,Kb,bs)「満ち潮の夜」「急がないであわてないで」

 鎌倉からやってきた小学校の同級生5人で結成したバンド。色とりどりの衣装や布、帽子に身を包んだ5人が並んだだけで楽しくなります。初々しい女性ボーカルの方と、隣のギターの方が実は来年ご結婚なさるそうでー! それってザバ婚なの? むしろいつから付き合ってたの? 申込時、持ち込み機材の中にiPhoneとあって首をひねっていたのですが、なんとベースの方の楽器はiPhoneでした。

 

13.ヘリオトロープ(Vo,Kb)「TRUTH」「相馬二遍返し」

 実力派ユニットヘリオトロープさん、個人的に前から存じ上げておりました。申込でお名前を見つけたとき「ラスト前はこれだ」と最初から決めてました。ZABADAKライブで言うところの後半の「夢を見る方法」「PACO」なんかで、みんな終わりに向けていくぜー! という転換点のあたり。

 そのパフォーマンスにサウンドチェックの時から楽屋騒然。高坂さんの力強い歌唱とこばひっ師匠のビートのあるキーボード。女性英語バージョンの「TRUTH」で場を制圧し、「相馬二遍返し」で一気に高揚させる。客席からもお囃子の大攻勢。ZABADAKのライブでも聴いたことがないほどのお囃子でした。

 

14.らいらっく(Vo,Vo+Gt,Gt,Kb)「この空で会えるよう」「雲の言葉」

 ライブ主催経験のない「桜組」を、技術的にも精神的にも支えてくださった「らいらっく」のお2人。この2人に「桜組」からピアノの来夢とギターのきかくがサポート。

 男性ボーカルのしんしゃんさんはギターもベースも弾かれますが、やはり真骨頂は歌。3つほどボタンを開けたシャツに吉良さんぽさらしさを感じました。もう一人のボーカルまきのさんがしっとりと歌い上げる日本語歌詞版「この空で会えるよう」からの、二人の歌が曲の途中で入れ替わる「雲の言葉」。空へ人への思いを歌うこの2曲で泣いた人も多かったようです。

 

15.客席参加セッション2(Gt,Gt,Kb,Bs,Andes+Acc,Ch)と風部、客席の皆様「POLAND」

 「風の巨人」のときと同じメンバーで客席参加セッション再び。風部のルーツである「POLAND」はぜひやりたかったのです。私はアコーディオンアンデスを担当。小峰さんばりの楽器早替えにチャレンジ。

 風部がしっかり吹けていることを確認して、アウトロでは自分の笛をマイクから外しました。本番中に急に一人で決めてやってしまったので、他のセッションメンバーには悪いことしました。プログレナイト2014版を思わせる客席のかそけき笛の群れ。オオムラサキの舞う光景が見えたような気がしました。

 

16.ゲストコーナー

 ここからは、ご縁あって来てくださったゲストコーナー。ZABADAKとの共演経験があり、それぞれのZABADAK感がある皆様。サウンドチェックの時から夢のような、今までにない組み合わせのZABADAKが繰り広げられました。

 

松本リョウスケ、木村林太郎(りょんりょんとりんりん、りょんたうろす、木村くんと松本くん? なんかユニット名不明)「遠い音楽」「豊饒祝歌」

 「マサキラ」や「きら☆りん」「ひらばりーず」など、吉良さんは男性デュオのライブも何度も行われていました。その路線の正統継承者と勝手に私が思っているお二人です。松本さんの艶っぽい歌、それを深く支える林太郎さんのコーラスとハープ。これからも続けて頂けると嬉しいです。

 「豊饒祝歌」は、実は私も客席セッション曲として当初運営チームに提案していたのですが選に漏れてしまった曲。それが、お2人が客席の皆様もコーラスを歌ってください、と言ってくださったことで図らずも実現。めっちゃ歌いましたとも。富良野ZABADAKライブを思い出しました。

 

日比谷カタン、松本リョウスケ、木村林太郎「Wonderfull Life」

 これはずるい! 日比谷カタンさんがてらわず真っすぐに歌ったとき、とんでもない破壊力が起きるのは30周年ライブ2日目の後半ステージを観た人はご存じかと思いますが、まさにあの瞬間の再来です。歌詞の一つ一つが刺さる。サウンドチェックでお三方の声が重なった瞬間、泣きました。

 

シークレットゲストみとせのりこ日比谷カタン、松本リョウスケ、木村林太郎「夢を見る方法」「二月の丘」「五つの橋」

  日比谷カタンさんがお声をかけてくださり、みとせのりこさんがゲストとして来てくださいました。最初に話を伺ったときには、もうびっくりしました。私みとせさんがZABADAKのカバーやってた頃のテープ持ってました! 当日まで発表していなかったので、カバー大会参加者でも驚く人多数。もうね、祭りですよ。

 norenwake前も後も知り尽くしたみとせさんの歌はまさに凝縮されたZABADAK。受け取り、繋ぐという強い意志。小樽ライブのとき、こっそりいらしていたみとせさんが吉良さんに呼び上げられて「五つの橋」を歌ったときのことを思い出しました。

 

17.ゲスト+参加者セッション、客席の皆様「Easygoing」

 話は前後するのですが、ゲスト前の休憩時、「楽器の差し入れを貰った…」と主催が大きな紙袋を抱えて楽屋に帰ってきました。中にはたくさんのタンバリンなど。吉良さんが高校時代に組んでいたバンド「欠食ドラ猫団」の方がご来場していて、客席参加セッションではジャンベを響かせてくださったのですが、その方からでした。

 急遽その楽器を客席にお配りしまさに大騒ぎの「EasyGoing」。ステージと客席、歌と楽器が入り混じるカオス。

 ギタスズで吉良さんがやっていた、間奏に「We will Rock you!」を挟むスタイルをカタンさんが見事に再現。間奏に挟むバージョンはいろんなスタイルがありましたが、この日には一番ふさわしい形でした。

 私はアコーディオンを弾いていたのですが、死ぬほど緊張していて、すぐ隣にみとせさんがおるで…ここほんとに現世かな…とか思ってました。

 

18.アンコール「遠い音楽」

 予定にはなかったアンコール。すべてを巻き込むように「遠い音楽」の大合唱。なんかもう全てが嘘みたいに楽しくて、熱気が凄まじくて、そうだ、この場をきちんと撮っておかなきゃ……と、私はステージを降りて写真係に逆戻り。最後列から見るステージは遠い夢のようでした。

 

 というわけで、駆け足でカバー大会の曲感想でした。