日記2020/6/20

家から電車に乗って二時間以上かかるところへ行く。二千円はかかる。旅行だとおもう。初めて乗る路線はずっと高架を走って行く。川を渡る。東へ進んで行くにつれて街が低くなって、線路の下に街が並ぶ。次の駅がくると、にゅう、と背の高い建物が生えてきて、また線路より街が高くなる。

旅行だとおもう。初めて降りた駅は、ファーストフードと新しいショッピングセンターと親子連れ。平成のうしろにできた街だ。

二時間ばかりの用事を済ませて帰る。日の光は夕方になっても高い。コロナウイルスの重しが減ったかのように人が明るい。白々と梅雨を忘れたかのように。夏至は明日だ。

旅行だから何か食べたい。マクドナルドという気分でもない。高架の列車に乗って西へ帰る。日本全国のお土産を集めた店に寄る。岩手県のソフトクリームを食べる。ほの甘い。知らない土地に行った疲れを上書こうとする行為。

いつもの新宿の店で少し飲む。1256円の会計、紙と金属のお金でぴったりと出せる。前の人はSuicaで払う。後ろの人はクレジットカードで払う。

新宿の店も日本のあちこちからおいしいものを取り寄せて、並べるようになっていた。こういう市場をマルシェというそうだ。桃の産毛が滑らかそうだ。まだ少し固そうで、その固さにの中にみずけをたくさん隠し持っていそうな。二個で千円。

桃を抱いて帰る。旅行だから土産がある。旅行だったとおもう。