歌、ディーゼル、鳥、北海道9日間#11

9日目 6月15日(日) 富良野旭川-羽田

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札幌、小樽、留萌、豊富、富良野、と歌を追った日々。

 

 

 朝5時前。今までに比べれば遅めの起床。身体の奥で昨日の歌が揺れている。帰らねばなるまいな、と声に出したところで少し泣いた。

 以前、ZABADAKの北海道ツアーについて回ったときは、こんなに悲しくならなかった。いつだって次はないかもしれないと思っている。まとまった休みを得て行きたいところに行ける機会は存外にない。わかっている。だけど、今回は殊更おしまいが辛い。

 しばらく考えて、みんなはこれから札幌でもう一夜の歌があるのに、私だけ先に帰るのがさみしいし、羨ましいのだな、と思い当る。

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宿の目覚まし時計。手を触れづにどうやって使えばいいのだろう。

  とはいえ、今日帰ると決めたのは私だ。自分で決めたことだから、すぐに納得がゆく。これが誰かと一緒にきていて、その人の都合に合わせたものだったら、内心恨めしく思ったかもしれない。1人でよかった。

 

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駅までの道すがらにあった「自慢のカベ」の告知掲示板。

 

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これが「自慢のカベ」だ。

 

 ここから先は特筆すべきことはない。富良野駅前から旭川空港行のバスに乗って、旭川空港から羽田行の飛行機に乗ったらもう東京だった。

 

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羽田では、俳句甲子園の関東地区大会が行われていた。

 

 東京は暑くて、 人がたくさんいて、大気の中に余分な成分がたくさん入ってる感じで、どこか現実味がなかった。そんな感じで、一週間くらいぼんやりと過ごした。

 

旅の後

  着いた日は札幌で行われているライブのことばっかり考えていた。着いたその次の日は、フェリーで帰ってくるという吉良さん林太郎さんたちの道中をぼんやり考えていた。着いて三日目は写真を見て溜息ばかりついていた。

 少しずつ北海道のもので出来た細胞と、東京のものでできた細胞が入れ替わっていく。浮いていた風船が少しずつ気が抜けて、しぼんで地につくように。

 歌を追って、鳥を見て、俳句を作って、鉄道に乗って、ただそれだけの、このうえない9日間。うまくテキストが畳めない。半年経ってなお、まだ北海道のどこかに何かを落っことしたままだ。

 10月から11月にかけて、また歌を追って北へ行く。落としてきたものを拾わにゃあなりません。あるいは、もっと取り返しのつかないものを落としてくるかも。それまで、また。