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歌、ディーゼル、鳥、北海道9日間#2

2日目 6月8日(日) 札幌

 唯一連泊の日。散歩に行こう、と意気込んで支度を整えたところで雨。ひとまず朝ごはんにしてしまう。

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 ボディのしっかりしたカフェラテとトースト。パンはセルフサービスで好きな厚みに切るシステムなので、セレブな厚みに切らせていただいた。

 

 天気を睨みつつカフェラテを飲んでいるのにも飽きて、小雨の中、中島公園まで出かける。北海道らしい鳥を探したい。

 鳥、野鳥に興味を持って4年になる。鳥はどんな場所にも必ずいるのだが、関心のないころは、まったくの意識の外側にあって鳥のことなんて気に留めたことはなかった。でも、教わる機会を得て少しずつ鳥を認識できるようになった。今まで聴こえなかったもの、感知できなかった姿や気配に気づけると、世界が少し広く深くなる。知覚できるようになればその違いが面白くなる。今はその段階。

 折りたたみ傘を差して公園を回る。

 

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 池にぽつんとマガモのメス。

 

 マガモは本州の平地では冬鳥で春先には去ってしまうけれども、北海道では一年中いて繁殖もしているらしい。北らしさを感じる鳥にうれしくなる。

 

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 水浴び直後のコムクドリ(当初コサメビタキと勘違いしてたけど、twitterで教えていただいた)

 

 コムクドリは夏の渡り鳥。本州にも来るけれど、東京で家と会社の往復だけしていたらなかなか出会わない。

 

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 雨は結構ひどかった。宿に帰ったあと、めちゃくちゃ干した。

 

 宿で野鳥図鑑をめくったり、twitterを眺めたりしてのんびりしたあと、近くの銭湯へ一番風呂を貰いに行く。が、この古めかしい銭湯はたいそうお湯の温度が高く、掛け湯の段階で両腕にびっしり温熱じんましんが。せっかくの広いお風呂なのに、湯船に30秒ほど浸かって撤収。ハシブトガラスの行水だってもう少しゆっくりだ。

 

 この日のライブは、昼と夜の2本立て。昼の部は北大近くの小さなスープカレー屋さん「Jack in the box」にて。札幌のような碁盤の目状の町は苦手で、さんざん迷う。開演直前に駆け込んだらほぼ満席、楽器も出演者も何もかもが揃っている脇を入っていく羽目になって、大変にいたたまれない。

 昼のユニットは昨夜と同じく「きら☆りん」の構成。林太郎さんのソロがあって、吉良さんのソロがあって、そしてデュオ。楽屋がなく、客席もぎゅうぎゅう詰めなので、ソロの間も二人は隣でお互いの曲を聴いている。その佇まい、距離感に見ている側の気持ちも揺れる。吉良さんが林太郎さんの歌に合わせてギターを即興で弾き始める。外からはカワラヒワが鈴を転がすような声をハープやギターに重ねてくる。外の気配が近いお店ならではの楽しさ。しかし、後半はハシブトガラスの鳴き声が突き刺さってくる。これも外の気配が近いお店ならではの楽しさだろう。

キラ・リン昼下がりジャック・ライブ終了。 | スープカレー Jack in the box 011-736-7736 (北11西1) - 楽天ブログ

ライブの風景はお店のブログをご参照ください。こじんまりした素敵なお店でした。遅刻せずにスープカレーが食べたかった。

 

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 夜の部は大通近くの古本屋「アダノンキ」。バーカウンターがあってビールの飲める古本屋さん。到着して開場待ちの列に並ぶと中から曲が漏れてくる。知っている歌、一旦止まる、吉良さんの話し声、また始まる……。細く古い雑居ビルの廊下で聴くリハーサルの音に気持ちの水位がどんどん上がっていく。

 夜のユニットは「きら☆りん」に、ハンマーダルシマー奏者の小松崎健さんが合わさって、「キラ☆リン☆ケン」。会場は立ち見が出るほどの満席。

 

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ハンマーダルシマーは台形の箱に張り巡らされた弦をバチでたたく打弦楽器。

 

  打弦楽器はピアノのルーツにあたるそうだけど、このハンマーダルシマーもピアノに似た場を華やがせる力がある。低く太くギター、高いところからハープ、そして中央にハンマーダルシマー。重なりが美しい。「夜毎、神話がたどりつくところ」や「夢を見る方法」といったzabadakの聴き馴染んだ曲がダルシマーの衣をまとって違う顔を見せる。初めて聴く「声がきこえる」や「HoursAfter」といった、小松崎さんが参加されているバンド「Karman」の曲と吉良さんのギター、林太郎さんのハープががっちりとかみ合っている。いずれもリズムとメロディが一体になったかっこいい曲で、終演後CDを買った。

 札幌にきてライブは3ステージ目になるけれど、1つとして同じように感じるステージはない。万華鏡が回り続けているような、プリズムが転がっていくような時間を過ごせる嬉しさ、豊かさ。

 

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運転手さんがここで乗るのか?という顔をしている気がする。

 

  終演後、気持ちに落ち着かなさがある。何かがしたい。とりあえず市電に乗ることにする。明かりを目印に電停まで行き、やってきた車両に乗り込むと車内が微妙な空気。すぐに理由はわかった。次の「すすきの」が終点だったのだ。間抜けな観光客である。よさこいの踊り手に取り囲まれながら宿まで歩いて帰る。落ち着かないまま眠る。明日は小樽へゆく。